● 韓国の家計が抱える債務問題
最近、金利上昇の影響もあり、主要国の住宅価格の下落が鮮明だ。8月以降、韓国でも住宅価格の下落が顕著になり始めた。韓国の住宅価格は今後、さらに下落する可能性がありそうだ。懸念されるのは、韓国の家計が抱える債務問題の深刻化だ。
これまでも韓国経済にとって、家計債務残高の増加は、最大のリスク要因の一つと考えられてきた。近年、韓国では首都圏で住む場所を確保するため、住宅ローンの借り入れに依存する家計が増えている。雇用・所得環境の厳しさから脱け出すため、若年層を中心に、資金を借り入れて株式などを短期目線で取引する人も増えている。そうした状況が加速し、家計の債務残高は持続困難な水準に達している。
内外の金利上昇などによって住宅価格が下落すれば、韓国経済の成長率は低下し、家計の元利金返済負担は増すだろう。状況次第では、韓国の金融システムの不安定感が高まり、急速に投資資金が流出する恐れも排除できない。
(中略)
● 懸念高まる家計債務問題の深刻化
そのような“住宅バブル”の裏返しとして、家計の債務残高が急速に増加している。国際決済銀行(BIS)のデータによると、21年7~9月期、韓国の家計債務残高は対GDP比106.0%の過去最高を記録。22年1~3月期も同105.4%と高い水準だ。
状況としては、支出が収入を上回り、借り入れに頼る家計が増えた。それほど住宅価格や家賃の値上がりは急速だったようだ。日々の生活や債務返済の資金を獲得するために、大手財閥企業の株式や、ビットコインなどの仮想通貨に投資をする人が増えているという。資金を借り入れて仮想通貨を購入し、人生の一発逆転を狙う若者も増えているそうだ。
懸念されるのは、世界経済の物価高騰、景気後退リスクの高まりによって、家計の債務問題が深刻化する展開だ。韓国銀行は、インフレ鎮静化のために追加利上げを進める必要がある。これまで韓国銀行は、金利上昇により家計の利払い負担が上がって生活に行き詰まる人が増えることを懸念して、慎重に金融政策を運営してきた。しかし、その余裕はなくなりつつある。それに加えて、米国では連邦準備制度理事会(FRB)が3倍速の利上げを進め、株価が下落した。
(中略)
● 米FTXトレーディング破綻で仮想通貨が下落するリスク
家計部門で不良債権が急増し、金融システムの不安定感が高まる場合、韓国経済にはかなりの衝撃が及ぶだろう。その一つとして、海外への資金流出が急増する恐れがある。
もともと、韓国経済では慢性的にドル資金が不足してきたとみられる。世界経済の環境が悪化し主要投資家がリスク削減を急ぐと、韓国からはドル資金が急速に流出した。
2020年3月中旬、韓国がFRBのドル資金供給によって経済運営に必要な資金を確保したことは記憶に新しい。当時、家計の債務問題が韓国経済のアキレス腱になると懸念する主要投資家は多かった。ただ、最終的には、世界的な超低金利環境の継続期待と住宅価格上昇への強気な見方が懸念を上回った。
しかし、足元の世界経済を俯瞰(ふかん)すると、家計債務残高の増加を支えた二つの要素がいずれも崩れ始めている。世界的に、金利にはより強い上昇圧力がかかりやすい。FRBは物価を抑えるために金融をさらに引き締めなければならない。政策金利(FFレート)を中心に、米金利はさらに上昇するだろう。
基軸通貨である米ドルの金利上昇観測と、債務問題の深刻化懸念を背景に、韓国から流出する資金はさらに増加する可能性が高い。インフレの鎮静化と自国通貨安の食い止めのために、韓国銀行も追加利上げを余儀なくされるだろう。金利上昇によって、世界各国で住宅価格にはさらなる下落圧力がかかるはずだ。世界的な半導体市況の調整によって、韓国の輸出減少も懸念される。いずれも、韓国の住宅市場をさらに下押しする要因だ。
それに加え、米FTXトレーディングの経営破綻を背景に、韓国の個人投資家が購入した仮想通貨の価値が下落するリスクも一段と高まった。今後、追加的に家計債務問題は深刻化し、韓国の社会心理はより強く圧迫されやすい。8月以降はそうした懸念の高まりを背景に、ウォンを売る投資家が増えた。住宅ローンを中心とする家計債務問題は、今後の韓国経済に無視できない負のインパクトを与えるリスクだと考えられる。
11/29(火) 6:01配信
ダイヤモンド・オンライン
https://news.yahoo.co.jp/articles/6da499c9de4a52886e3347a4464b5a0b5f2d2f21
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Source: コイン速報 | 仮想通貨ニュース・暗号資産相場情報・5chまとめ
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